2025.06.19 活用事例

「生徒を育てる視点を新たにし、人間力向上を図る」ー英心高等学校 伊勢本校教頭 中林 洋賀

「学びなおし」という大きなテーマのもと、英心高等学校の教育グランドデザインを描いてきた中林先生。「人間力の向上」に特に力を入れて現在の探究学習として具体化している。学校のミッション、具体的な取り組み、Edv Pathの具体的な活用方法、学校全体の舵取りを担っている中林先生に英心高等学校のこれまでとこれからを伺った。

人物紹介

中林 洋賀2019年、英心高等学校へ着任。担当科目は国語。現在は教頭という立場から学校内の全ての分掌に携わる。また、学校全体の教育理念を活かしながらグランドデザインを刷新。探究学習をはじめとしたさまざまな取り組みの運用をリードしている。

学校紹介

学校情報住所:三重県伊勢市河崎1-3-25在校生:高校1~3年生389名今回導入したクラス:高校1~3年生(伊勢本校、桔梗ヶ丘校)導入時期:2023年6月〜

「学びなおし」をミッションに掲げた学校づくり

英心高等学校では「学びなおし」を大きなテーマに掲げ、個性豊かな教育活動に取り組んでいる。教育活動のグランドデザイン設計・推進を指揮するのは教頭の中林先生だ。中林先生が英心高等学校に着任したのは4年前のこと。生徒たちの第一印象については次のように語る。

「個性豊かで、内面的な魅力のある生徒が多いと感じました。この学校の生徒達はやればやるだけ、秘められた力を発揮するだろうという印象を抱きましたね」

単に勉強を教えるのではなく、「人を育てたい」という思いが強かったという中林先生。しかし、若い頃には経験や知識もなく、毎日が試行錯誤の連続だった。

「生徒の人間力を育みたいという気持ちだけは強かったのですが、若手の頃は正解がわからず、教員として何ができるのかを模索していました。当時は探究学習という概念も存在していなかったんです」

中林先生は前任校での経験から、生徒の成長はどんな場面や経験で促進されるのかを学んだという。

「生徒と接するなかで気づいたのは、知的活動でも芸術的な活動でもコンテストに出ることや学校行事を通じて、生徒は大きく変化や成長をするということでした。そこから自分の中での探究学習に対するプライオリティが上がったなと思います」

「楽しい」から始まる探究学習

英心高等学校の教育方針には「基礎学力向上」「個性の発見」「人間力向上」の3つの柱がある。この3つの柱を支える教育の1つが探究学習だ。

「最終的には自身の興味関心や課題感に沿ったテーマで個人探究をおこなって欲しいと思っています。ただいきなりそのレベルでの実践は生徒たちにとっても難しいためまずは集団での課題解決学習、探究学習を実施しています」

探究学習では、生徒たちが幅広い取り組みに挑戦する。

「例えば写真を通じて自身の興味を表現する授業やコピーライティングの技術を学ぶ授業、文化祭の企画を考えることを通じた体験デザインの授業、地域のオリジナル観光MAPを作成する授業などがあります。最終的には生徒一人ひとりがそれぞれの授業で学んだことを統合し、個人の進路探究に繋がるようなカリキュラム設計にしているんです」

まずは生徒たちに探究学習を楽しんでもらいたいと話す中林先生。

英心高等学校の探究学習は、1年生で考えて表現することから始まり、2年生では自分の興味関心を深め、3年生で社会との繋がりを考えるという流れで実施をしている。

人間力の向上を可視化することで生まれる好循環

「3つの柱のうち特に人間力向上の具体化に取り組んでいましたが、実態を測定する術がありませんでした。なのでEdv Pathに出会った時は心が躍りましたね」

Edv Pathの導入により、生徒の非認知能力が見える化したことで、どのような影響があったのだろうか。

「生徒と教員の間でのコミュニケーションが取りやすくなっただけでなく、保護者の方に対しても、生徒がどれだけ成長したのかをより説得力を持って伝えられるようになりました。三者面談の場で、家庭では見えづらい子どもの変化についてお伝えすると、とても喜んでいただけるんです。生徒の強みだと感じることや学校での活動の様子などをEdv Pathのデータを踏まえながら話しています。するとそんな側面や強みがあったんですねと保護者の方の見方が変わるんだという実感がありました」

教員側でも生徒達を見るパラダイムの変化を感じているという。

職員室の中でもEdv Pathのデータから生徒の状態について考えたり、意見交換をする場面も増えている。

「Edv Pathの結果をチェックしたうえで、悩みを抱えていそうな生徒に対しては面談を実施し、生徒の悩みを聞き出すことができたと話す先生もいます。Edv Pathのおかげで生徒の状況をより把握しやすくなり、適切なタイミングで必要なサポートをしやすくなったと感じますね。もちろん、生徒のポジティブな変化についてもしっかりと捉えられるので、生徒たちが気が付いていなかった自身の成長について、具体的なフィードバックができるようになったのも良かったと思っています。」

学校内での活用が前進している

Edv Pathの導入にあたり、運用方法や効果の検証には時間を掛けたと話す中林先生。

「これまでさまざまなサービスやシステムを導入してきた経験を踏まえ、今回のEdv Path導入では、まず先生方の心理的ハードルを下げながら、まずツールの使い方に慣れてもらうことを意識しました。いきなりデータを活用しようとするのではなく、データから把握できた生徒の様子を教員間で簡単に共有することからスタートしたんです」

 

「複数回Edv Pathを使って慣れてきた時期、文化祭後のアセスメント結果が出たタイミングで、先生方にクラス全体と数名の生徒についての考察をしてくださいとお願いをしました。先生方も慣れてきたので考察も鋭く、特に個別の生徒への見方は充実したものがありました」

こうした取り組みは伊勢本校だけでなく、桔梗ヶ丘校でも実施されているという。

「桔梗ヶ丘校では、先生方がEdv Pathで取得したデータをもとに自身が受け持つクラスの現状を分析。その結果からアプローチすべきことを考え、クラスでの取り組みを実施しました。その後、取り組み後の変化をデータを用いて職員会議で共有してくれました。こうした取り組みを一斉に行うのは難しいので、まずは一部のモデルクラスで実施し、徐々に輪を広げていく予定です」

Edv Pathの導入から半年。現場の先生たちにも徐々に浸透し活用が前進している。

すべての教育活動で非認知能力の育成を

非認知能力という見方によって学校の在り方も変わっていくはずだと中林先生は話す。

「本校でも6月からEdv Pathでの測定を実施してから半年という短い期間で、生徒たちの非認知能力が全国の高校平均を上回る結果に繋がりました。もちろん、その裏には様々な取り組みや経験があるわけですが、こうした実績は保護者の方にも大きく評価いただいています。進学実績だけでなく、非認知能力の向上という側面でも教育レベルの高さを訴求できるようになってきていることは、とてもありがたいですね」

最後に、今後の展望について伺うと、中林先生は次のように語ってくれた。

「個人的な夢としては、すべての教科学習を探究の要素を取り入れたものにしたいと思っています。指導要領などでは認知能力や従来型の学力についての記載が多いのが現状です。では各教科でも非認知能力を伸ばすにはどうすれば良いのか。どのような取り組みが非認知能力に影響を与えるのかを実践していきたいなと思います。」

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