2022.05.27 大学入試

結局総合型選抜(旧AO入試)ってどうなの?難関大学合格の秘訣とは

「AO入試は何かに秀でた学生が受験するもの」というイメージが根強い大学入試。2021年度から名称も変わり、総合型選抜として注目されている入試方式です。各大学での定員も増加傾向にあり、気になっている高校生も多いのではないでしょうか。

今回は、従来のAO入試との違いや大学入試改革・受験を取り巻く現状についてご紹介します。また、時代の流れを踏まえて受験の先を見据え、進路について計画を立てる方法も解説します。ぜひ最後までチェックして、受験戦略を立ててみましょう。

総合型選抜(旧AO入試)の現状

初めに2021年度から名称が変わった総合型選抜(旧AO入試)と従来のAO入試との違いについて説明します。

旧AO入試から何が変わったの?評価項目は増加へ

旧AO入試は、「アドミッション・オフィス=入学管理局」という意味を由来に、各大学が「入学者に求める学生像」として規定している「アドミッションポリシー」と公募制で志願した出願者の適性や能力と照らし合わせて合否を決める入学試験でした。

2021年度より「総合型選抜」という名称に変更され、文部科学省の「大学入学者選抜関連基礎資料集」によると、各大学が実施する独自の試験、もしくは「大学入学共通テスト」の少なくともいずれか一つの活用を必須化し、「総合的に学生を評価する」こととしています。

学力検査の実施方法については各大学の方針によりますが、一般的には小論文やプレゼンテーション、口頭試問、資格・検定試験の成績等を用いて評価を行う傾向にあります。

また、出願者本人が記載した活動報告書や入学希望理由書、大学入学までの学修計画書の積極的な活用も新たに加えられました。

これらの改善の背景には、実質的に学力選抜を行わない大学のAO入試により入学した学生の学力低下、さらに合否発表が早いために「もう勉強しなくていいや!」と進路決定後の勉学に励まなくなる学生への懸念があるとされています。より多面的に学生を評価し、「本当に大学で学ぶ強い意志があるのか?」という点を重視して選抜を行う傾向になりました。

国公立大学

難関大学の多い国公立大学でも総合型選抜に力を入れています。文部科学省の「令和4年度入学者選抜について」によると、入学者選抜を実施する国公立大学のうち、国立は78%の大学が、公立は40%の大学が総合型選抜を実施します。国立・公立大学双方で今年度初めて総合型選抜(旧AO入試)を導入する大学も!

今回は令和4年度入試から総合型選抜枠を拡大した大学・力を入れている大学を中心にご紹介します。

北海道大学

旧帝大の1つとして根強い人気を誇る北海道大学。総合型選抜を「フロンティア入試(※)」と称し、理系学部を対象に募集人員を54名から114名へ大幅に増員し、内容を大きく2種類に分けています。

「TypeI」では計78名を募集し、課題論文や「大学入学共通テスト」を課す点が特徴的です。一方「TypeⅡ」では計66名の募集を行い、2次選考で数・理系の適性試験を実施することや「大学入学共通テスト」を課さない方針です。

各学科によって現役生のみ、既卒1年まで可など指定が異なるため、必ず大学HPにて募集要項を確認してください。

※参考:令和4(2022)年度北海道大学総合型選抜フロンティア入試

東北大学

難関国公立大学の中でも21年前からAO入試を導入している東北大学(※)では、時期を2つに分け総計657名もの学生を総合型選抜によって選抜します。前年度とは募集人員に大幅な変化はありませんが、2022年1月中に出願できる「AO入試Ⅲ期」では「大学入学共通テスト」を課しているものの、全学部を対象に門戸を開いています。

一部の学部のみを対象とする「AO入試Ⅱ期」では、「大学入学共通テスト」を課さないことが特徴にあります。最終的な合格者は11月下旬に発表されることから、早めの対策が必要です。

※参考:令和4年度(2022年度)AO入試(総合型選抜)Ⅱ期学生募集要項令和4年度(2022年度)AO入試(総合型選抜)Ⅲ期学生募集要項

私立大学

平成31年度から令和2年度にかけて私立大学のAO入試の志願者は約2万6000人あまり増加(※)しているほど勢いのある私立大学の総合型選抜。実施大学数も多く、募集学部も多彩であるため、第1志望を決めることが難しい側面もあります。

今回は難関私立大学として知られる早稲田大学と慶応義塾大学の総合型選抜について一部ご紹介します。

※参考:偏差値で大学を選ぶ時代は終わり? 旧帝大など国公立でもAO入試が増加中

早稲田大学ー国際教養学部

私立大学の国際系学部の中でも特に人気の高い早稲田大学の国際教養学部。グローバルな学部であることからAO入試(※)では4月入学者を対象に国内・国外選考の2つが存在し、それぞれ100名ずつ募集しています。

選考は書類審査と筆記審査の2つで非常にシンプルではありますが、筆記審査「Critical Writing」では120分という時間内に与えられた資料を理解し分析したうえで、自分の考えを表現しなければならず、難しい試験となっています。英語力はもちろん、論理的思考力や表現力も問われるため、総合的な対策が必要な試験です。

※参考:早稲田大学国際教養学部AO入学試験要項(総合型選抜)<2022年4月入学・国内選考>

慶応義塾大学ーSFC(湘南藤沢キャンパス)

1990年度入試において湘南藤沢キャンパス創設とともに日本で初めて実施されたとされる慶応義塾大学のAO入試。総合政策学部と環境情報学部において、150名ずつ募集しています。1次選考は書類審査、2次選考は面接となっています。所定のコンテストで優秀な成績を収めている場合は1次選考が免除されます。

出願に必要な情報のうち、「3分間のプレゼンテーションビデオ」の提出が必須となっている点が特徴の1つにあります。志望理由および入学後の学習計画や、将来の目標等を内容とするビデオを作成する必要があり、形式は口頭説明に限らないという創造性が求められます。

※参考:慶応義塾大学総合政策学部・環境情報学部 アドミッションズ・オフィスによる自由応募入試(AO 入試)2021 年度実施2021 夏秋 AO 2022 年 4 月第 1 学年入学者選考・2022 年 9 月第 1 学年入学者選考募集要項

倍率はどれくらい?

志望校を決める際に気になることの1つが入試倍率。総合型選抜(旧AO入試)の募集人員は増加傾向にあるとはいえ、特殊な試験や面接などの準備を重ねて他の受験生をおさえて勝ち抜くためには倍率も気になるところです。今回ご紹介した大学・学部の昨年度AO入試倍率について見てみましょう。[]内の数字は一般選抜での倍率です。

国公立大学

  • 北海道大学:2.2倍(理学部地球惑星科学科では4倍)[2.5倍]
  • 東北大学:3.9倍(最大で医学部医学科の8.5倍)[2.8倍]

私立大学

  • 早稲田大学国際教養学部:4.8倍[3.4倍]
  • 慶応義塾大学総合政策学部:11.1倍[7.1倍]
  • 慶応義塾大学環境情報学部:9.8倍[7.7倍]

一般選抜の倍率と比べ、総合型選抜の倍率は高い傾向にあります。総合型選抜の志願者が増加したことによる倍率への影響がうかがえます。

総合型選抜(旧AO入試)拡大の背景

大学入試において注目を浴びている総合型選抜(旧AO入試)ですが、これほどまでに拡大傾向にあるのはなぜなのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

少子化による受験人口減少

ベネッセ入試結果調査①」によると、大学受験を控える18歳の人口の数が2021年度は115万人だったとし、前年から2万6000人減少していると発表しました。今後の予想としては、現在の高校1年生が受験する2024年度入試では約107万人にまで減少するとの見込みであり、かなりの減少幅となっています。

国公立大学全体の一般選抜の志願者数は微減、私立大学の志願者数は約310万人(前年指数85)と大きく減少しています。受験生の減少で大学側が懸念するのは「定員割れ」です。一般選抜よりも早い時期に一定の入学者数を確保できる総合型選抜は、大学での学びに強い意志を持つ学生を獲得できる点でも非常に有利であるために拡大傾向にあると考えられます。

VUCAの時代

これからの時代に社会で求められる人材像の変化も背景の1つにあります。VUCAとは、Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性の頭文字を取って変化が激しく未来の予測が難しい時代を意味します。

「いい大学」に入り、「上場している会社」に入れば安定し、いかに「決まった答え」を効率よく出すことができるかが優秀な人材としての基準とされていた時代とは異なり、インプットした知識を自分で考え発信することができる力や自分の「強み」を活かした生き方がより強く求められています。

総合型選抜はそうした時代の流れに適応することができ、強い自分の興味・関心を発信力を持って表現することができる学生の獲得を目指すために重視されてきたと言えるでしょう。

受験戦略の変化

各大学は「定員割れ」への懸念もさながら、ライバル大学との競争も考慮に入れて入試戦略を立てなければなりません。志願者が減少傾向にある今、他大学と同じ入試科目を課して受験生に併願してもらい、優秀な順に合格を出すという従来の方式が難しくなってきています。

「この大学で学びたい」「この研究をしたい」という入学への意識の高さを重視するため、学力のみで測る一般選抜ではない総合型選抜が増えていると考えられます。

偏差値偏重から学びたい学生の獲得へ

これらの理由から、「いい大学」とされていた偏差値の高い大学への進学を目指し、大学側もそれに沿った入試方式を取っていた時代は終わりを迎え、受験生側の熱意を重視した「総合型選抜」へ力を入れる時代へと変化してきたことが分かります。

大学入学への熱い思いを持って準備をすることは、この変化の激しい時代において後悔しない人生を送るために最も重要なポイントとなってくるでしょう。 

難関大学へ合格するための準備方法

ここまで、総合型選抜を利用して受験する際に押さえておきたい点を見てきました。昨今の大学入試改革の影響は、受験生の大学受験への心構えにまで波及しています。ここで一度、自分の進路のためにどう準備していくべきか自身を振り返って将来を見据えた計画を立ててみましょう。

自己分析を通じて興味・関心を洗い出そう

大学名から大学選びを行う前に、自分の興味・関心を今までの人生での出来事を振り返って洗い出してみましょう。下の質問に答えられることはないか考えてみてください。

  • 今までに衝撃を受けたニュースや経験は?
  • 強い憧れを抱く人は?その理由は?
  • 自分が1番没頭できることは?
  • 時間が無限にあればいいのにと思う瞬間は?

人生のヒストリーラインを書き起こしてみて振り返ることも、また新たな気づきを得ることに繋がるでしょう。興味・関心があることについて、いつから・どんな環境でそう思うようになったのか、きっかけを知ることは動機付けとしてとても重要です。あなたが大学に進学してまで突き詰めたいことは何でしょうか。

何を学びたいかを明確にして行動に起こそう

学びたいことがぼんやりと出てきたら、それにまつわることを書籍やインターネット、周りの人に聞くなど調べてみましょう。ある社会課題に関心がある場合は、どうしたら解決できるのか?などの問いが自分の中で生まれてくると思います。色んな解決策を実行している人、研究を重ねている人などの成果に出会うことで、あなたの進むべき道が分かってくるようになります。

身近にいる大人に何気なく興味のあることについて打ち明けることも、道が開く1歩になりうるでしょう。他者と対話することで自分の興味が鮮明になり、相手がそのことに対して知見を持っていることもあります。担任の先生や興味のあることと関係のある教科の先生に話すことで、活路を見出すことができるかもしれません。

大学での学びをイメージして調べよう

進むべき方向性が定まってきたら、いよいよ大学・学部・専攻選びです。同じ学部名のある大学でも、所属する教授や研究室などによって専門性は異なります。オープンキャンパスに参加して大学ごとの雰囲気を比較するだけでなく、興味のある学部ごとの比較もじっくり行いましょう。

受験時点では所属を確定できない大学や、研究室への配属の難易度も各大学によってさまざまです。高校の先輩やオープンキャンパスの相談チューターに質問することで、悔いのない選択を行いましょう。

受験方式を決めよう

「この大学でこれを学びたい!」ということが定まったら、いよいよ大学入試にどう挑むか戦略を立てます。今までの活動や熱意なら誰にも負けないという自信のある人は、その大学で総合型選抜を行っていないか確認してみましょう。出願期間から逆算して、思いを形にするための願書づくりや面接対策などを行っていくのがよいでしょう。

また学びたいことは定まってきたけれど大学に入ってからもう少し考えたいという人や、第一志望を1つに決めきれない人は一般選抜への対策を進めるのがおすすめです。学習への動機付けがしっかり確立されたことで、より一層学習への意欲が湧くことと思います。

まとめ

今回は、総合型選抜(旧AO入試)を導入している大学やその倍率、拡大傾向の背景、大学合格のための準備方法について解説しました。

要点をまとめると、

  • AO入試入学者の学力低下を防ぐための対策を含めた「総合的な評価」を実施する総合型選抜(旧AO入試)の拡大
  • 総合型選抜の志願者は拡大中
  • 人口減少や受験戦略の変更が総合型選抜拡大に影響している
  • 大学でこのことを学びたいという強い意志を持って計画を立てる重要性

ということです。

ぜひ一度自分の人生を振り返って、この時代を生き抜く人生の主人公としてまず大学受験をどう突破するか考えてみてください。

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